8月23日(日)に実施された、令和8年度 第58回社会保険労務士試験の解答速報・試験講評をこちらのページで公開いたします。自己採点機能も公開しておりますので、ぜひご活用ください。
試験講評ライブ配信
二神講師による試験講評を配信いたしました。アーカイブで視聴いただけます。
解答速報
選択式
問1 労働基準法及び労働安全衛生法
| A | B | C | D | E |
| 19 | 20 | 10 | 5 | 15 |
問2 労働者災害補償保険法
| A | B | C | D | E |
| 3 | 2 | 4 | 1 | 3 |
問3 雇用保険法
| A | B | C | D | E |
| 4 | 4 | 3 | 4 | 2 |
問4 労務管理その他の労働に関する一般常識
| A | B | C | D | E |
| 2 | 3 | 4 | 3 | 3 |
問5 社会保険に関する一般常識
| A | B | C | D | E |
| 7 | 18 | 3 | 12 | 14 |
問6 健康保険法
| A | B | C | D | E |
| 15 | 9 | 18 | 11 | 3 |
問7 厚生年金保険法
| A | B | C | D | E |
| 20 | 2 | 11 | 8 | 16 |
問8 国民年金法
| A | B | C | D | E |
| 9 | 16 | 2 | 10 | 14 |
択一式
労働基準法及び労働安全衛生法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| A | C | D | D | C |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| C | E | E | D | B |
労働者災害補償保険法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| D | B | C | D | D |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| C | A | C | B | C |
雇用保険法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| D | A | B | B | A |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| D | C | E | E | C |
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| D | C | E | D | A |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| B | D | B | E・D※ | D |
※最有力の解答はEですが、Dも正解になると考え、複数の解答を提示しています。
健康保険法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| D | E | D | E | C |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| B | B | D | E | A |
厚生年金保険法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| A | B | E | D | C |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| D | C | B | A | E |
国民年金法
| 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
| B | D | C | A | C |
| 問6 | 問7 | 問8 | 問9 | 問10 |
| B | B | D | E | D |
試験講評
選択式試験について
| 速報段階の結論 |
| ・満点は取りにくいが、各科目3点は確保しやすい「満点阻止・基準点確保型」の構成 |
| ・科目別基準点の引下げは、現時点では全体として可能性が低い。ただし、労災保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識及び健康保険法では、その可能性を完全には否定できない。 |
| ・総合基準点は25~27点、中心は26点と予想 |
8月23日に、令和8年度社会保険労務士試験が実施されました。受験された方、本当にお疲れ様でした。
今年度の選択式試験は、極端な難問を一つの科目に集中させるというより、各科目に満点を阻止する空欄を置きつつ、残る空欄で3点を確保できるように設計された印象です。昨年度は総合基準点が22点まで下がり、労災保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識の3科目が2点に引き下げられました。今年度は、昨年度とはかなり異なる構成です。
なお、昨年度講評では、基準点が下がる可能性を指摘した3科目が、実際にすべて引下げ対象となりました。一方、総合基準点については24~26点と予想したのに対し、実際は22点でした。この反省を踏まえ、今年度は難問の個数だけでなく、各科目について「難問を除いてなお3点を安定して取れるか」という観点を重視して評価します。
1 今年度の最大の特徴――空欄ごとに4肢へ絞られた問題
今年度は、労災保険法、雇用保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識の3科目で、AからEまでの各空欄について、あらかじめ4つの選択肢が割り当てられていました。以下、この形式を「空欄別4肢方式」と呼びます。対象は15空欄、全40空欄の37.5%に達します。昨年度は0空欄であり、直近10年で最も多かった平成29年度及び令和3年度の10空欄を上回ります。
| 年度 | 空欄別4肢方式(空欄数) | 総合基準 | 科目別引下げ |
| 平成28 | なし(0) | 23点 | 労一・健保=2点 |
| 平成29 | 雇用・労一(10) | 24点 | 雇用・健保=2点 |
| 平成30 | 労災(5) | 23点 | 社一・国年=2点 |
| 令和元 | 労災(5) | 26点 | 社一=2点 |
| 令和2 | なし(0) | 25点 | 労一・社一・健保=2点 |
| 令和3 | 雇用・労一(10) | 24点 | 労一=1点、国年=2点 |
| 令和4 | 雇用(5) | 27点 | なし |
| 令和5 | なし(0) | 26点 | なし |
| 令和6 | 雇用(5) | 25点 | 労一=2点 |
| 令和7 | なし(0) | 22点 | 労災・労一・社一=2点 |
| 令和8 | 労災・雇用・労一(15) | 未定 | 未定 |
注:空欄別4肢方式は、選択肢欄がA~Eごとに区分され、各空欄の候補が4個に限定されているものを当方で集計。
では、この形式は「平均点を上げ、基準点割れを極力避けるため」に採用されたのでしょうか。出題者の意図は公表されておらず、問題の形式だけから断定することはできません。また、直近10年では、空欄別4肢方式が使われた8科目例のうち2科目が実際に基準点引下げとなっています。割合は25.0%で、同方式でなかった72科目例の14科目、19.4%より低いとはいえません。標本が少なく、難しい科目に意図的に4肢方式が配された可能性もあるため、この数字から因果関係を論じることもできません。
したがって、「基準点引下げを避ける意図があった」との断定は、現時点では行うべきではありません。ただし、受験者にとって候補のグルーピング作業が不要となり、迷いの範囲が確実に狭くなる以上、結果として平均点を下支えし、3点到達者を増やす方向に働く形式であることは間違いありません。昨年度に2点へ引き下げられた労災保険法と労一が、今年度はともにこの方式となった点も注目されます。「出題意図」は仮説にとどめつつ、「難易度調整としての機能」は積極的に評価できるでしょう。
2 満点阻止問題と「3点への道筋」
満点を阻止する第1群の難問としては、労災保険法のB・E、労務管理その他の労働に関する一般常識のC、社会保険に関する一般常識のC、健康保険法のB・C、厚生年金保険法のEを挙げることができます。いずれも、計算過程、細かな数字、判例の目的、又は類似語句の厳密な区別が必要で、正答率は高くならないと考えられます。
もっとも、「これら7空欄以外はすべて確実」とまでいうのは厳しすぎます。一般の受験者を基準にすれば、問2のA・D、問3のE、問4のA・Bなども、細部の記憶が曖昧であれば失点し得ます。したがって、7空欄は「最も強い満点阻止問題」であって、失点可能性のある空欄を完全に列挙したものではありません。重要なのは、難しい空欄が分散され、それを落としても各科目に3点への現実的な道筋が残されていることです。
| 科目 | 主な満点阻止 | 3点への道筋 | 評価 |
| 労基・安衛 | 特になし | A・C・D・Eを軸に、Bも文脈判断可能 | 4~5点 |
| 労災 | B・E | A・C・D | 3点を確保 |
| 雇用 | 特になし(Eは要注意) | A・B+C又はD | 3~4点 |
| 労一 | C(A・Bも、統計を未学習なら難) | D・E+A~Cの1つ | 3~4点 |
| 社一 | C | A・B・D・E | 4点 |
| 健保 | B・C | A・D・E | 3点を確保 |
| 厚年 | E | A・B・C・D | 4点 |
| 国年 | 特になし | A~Eの基本・文脈判断 | 4~5点 |
3 科目別講評
「労働基準法及び労働安全衛生法」
労働基準法のAは退職時等の証明書を「遅滞なく」交付する規定、Cは労働基準法81条の「平均賃金の1,200日分の打切補償」で、いずれも基本事項です。Bは判例問題で文章量が多かったものの、事業場外みなし労働時間制の適用要件である「労働時間を算定し難いとき」が問われており、判旨全体から判断することができました。
労働安全衛生法のDは、製造業における総括安全衛生管理者の選任規模「300人」、Eは労働安全衛生法24条の「作業行動」から生ずる労働災害です。細かな数字に不安があっても、労基法側で3点を確保しやすく、全体では4点以上を狙える科目でした。基準点引下げの可能性は低いでしょう。
「労働者災害補償保険法」
空欄別4肢方式で出題されました。Aの遺族補償一時金「1,000日分」、Cの業務災害認定における事業主の「支配下」、Dの併合による障害等級「第8級」が、3点確保の中心です。Aの遺族補償一時金「1,000日分」は、労働基準法のC「平均賃金の1,200日分の打切補償」との対比を意識できると、解きやすかったかもしれません。
Bは、月給30万円の事業と日給1万円・月12日勤務の事業を合算する複数事業労働者の給付基礎日額です。日給制の平均賃金の最低保障である100分の60を個別に適用してから合算するのではなく、複数事業労働者の合算に当たっては当該最低保障を適用しないため、正解は14,000円となります。速報段階で判断が割れやすい、典型的な満点阻止問題でした。Eも、第9級と第13級の組合せで適用される「障害補償給付の額の特例」に関する問題で、給付日数は、第9級の391日分と第13級の101日分を合計した492日分となります。簡単ではありません。B・Eを落としてもA・C・Dで3点に届くため、昨年度のような基準点引下げの可能性は低いと考えますが、8科目の中では、基準点引下げの可能性を完全には否定できない科目といえます。
「雇用保険法」
Aの「適用事業に雇用される労働者」、Bの「労働の意思及び能力」は定義規定からの基本問題です。Cは同一の子について5回目以後の出生後休業、Dは産後休業をした被保険者について出生日から起算して16週間を経過する日の翌日まで、Eは求職活動関係役務利用費の1日当たり8,000円という内容でした。
特に、確実に出題が予想された「出生後休業支援給付金」から出題された点は重要です。令和7年4月施行の大きな改正であり、令和8年度対策の中心論点でした。さらに、直前対策講座「選択対策編」Q4-5(p.51)では、出生後休業支援給付金と、産後休業をした場合の「16週間」をそのまま空欄として出題しており、本試験Dと同一論点が的中しました。Cの「5回」とEの「8,000円」まで確実であったかには個人差がありますが、空欄別4肢方式でもあり、3~4点を確保したい科目です。基準点引下げは考えにくいでしょう。
「労務管理その他の労働に関する一般常識」
A・Bは、令和7年障害者雇用状況及び令和7年賃金構造基本統計調査の数値で、それぞれ2.41%、76.6でした。選択肢が4つに限定されていたとはいえ、統計の原数値であり、学習していなければ「確実」とはいえません。ただ、フォーサイトの受講生は、直前対策講座の「白書・統計対策編」でそれぞれカバーされていた(空欄Aはp.42、空欄Bはp.24)ので、取り組みやすかったかもしれません。
Cは、派遣先事業主も労働組合法上の使用者となり得ることを示した最高裁判例で、不当労働行為制度が団結権侵害行為を排除・是正して「正常な労使関係を回復する」ことを目的とするとの判示です。本問で最も難しい満点阻止問題といえます。Dの「現実的かつ具体的に支配、決定することができる」は文脈判断が可能でしたし、Eの育児休業取得状況の公表義務「300人」は押さえておきたいところです。D・Eを確保し、A~Cのうち1つを取れば3点に届きます。空欄別4肢方式の効果もあるため、昨年度のような引下げの可能性は低いとみますが、統計2空欄があるため基準点引下げの可能性がないとは言い切れない科目です。
「社会保険に関する一般常識」
A・Bは日本国憲法25条と「生存権」、D・Eは確定拠出年金法の目的条文における「高齢期の生活の多様化」と「自主的な努力」で、文脈からも判断しやすい内容でした。Cは、令和6年度末の国民年金保険料の全額免除・猶予割合44.0%で、ここが満点を阻止する統計問題です。Cを落としても4点を確保できる構成であり、昨年度2点へ引き下げられた科目からは大幅に易化しました。基準点引下げはないでしょう。
「健康保険法」
第三者行為による保険給付について、Aは保険者が取得する「損害賠償請求」の権利、Bは一般の「債権譲渡」、Cは第三者に対する「通知又は承諾」でした。B・Cは、類似する法律用語が並び、厳密な区別が必要な満点阻止問題です。民法を学習した行政書士試験の経験者には有利である一方、一般的な社労士試験の受験生には酷な問題だったといえます。
一方、Dの保健事業における「疾病の予防」と、Eの標準賞与額累計額「573万円」は押さえておきたい内容です。A・D・Eの3空欄が基準点への明確な道筋となります。ただし、A又はEで取りこぼすと2点となるため、健康保険法も、労災及び労一とともに、基準点引下げの可能性がないとは言い切れません。
「厚生年金保険法」
Aの遺族厚生年金の額「4分の3」、Bの財政の現況及び見通し「少なくとも5年ごと」、Cの財政均衡期間「おおむね100年間」、Dの在職定時改定における基準日「9月1日であり、基準日の属する月の翌月」からの改定は、いずれも学習上の重要事項です。
Eは在職老齢年金の事例計算です。賞与168万円は各月の標準賞与額上限150万円で計算し、総報酬月額相当額は55万円となります。基本月額10万円と総報酬月額相当額55万円との合計が65万円で、令和8年度の支給停止調整額の65万円以下となるため、支給停止はなく、年金支給月額は10万円です。賞与上限を使わないと8万5千円となるため、満点を阻止する巧妙な問題でした。A~Dで4点を確保できるため、基準点引下げはないでしょう。
「国民年金法」
Aは脱退一時金の支給制限に関する「障害基礎年金」、Bは最後に「被保険者の資格を喪失した日」、Cはその日から起算して「2年」、D・Eは国民年金法4条・4条の2の「速やかに」「長期的に」です。条文・附則の基本事項と文脈判断で対応でき、4~5点を確保したい科目でした。基準点引下げの可能性は低いでしょう。
4 総評と基準点予想
今年度は、問2B・E、問4C、問5C、問6B・C、問7Eなど、5点満点を阻止する問題が多く配置されました。他方、それらを除くと、各科目で3点に到達するための空欄が相当程度確保されています。厳密には、その他の空欄もすべて「確実」とはいえませんが、難問が一つの科目に集中して基準点割れを多発させる構成ではありません。
また、空欄別4肢方式が15空欄に及んだことは、客観的に今年度特有の傾向です。出題者の意図を「救済回避」と断定することはできませんが、受験者にヒントを与え、3点到達者を増やす難易度調整として機能した可能性は高いと考えます。総合すると、科目別基準点は全科目3点の原則が維持される可能性が高いものの、労災保険法、労一及び健康保険法については、引下げの可能性を完全には否定できません。
トータルの基準点は、昨年度の22点からは上昇し、25~27点、中心は26点と予想します。ただし、公式の合格基準は平均点及び得点分布等に基づいて決定されます。昨年度は総合基準を高めに予想した経緯もあり、現時点では、予想に幅を持たせておきます。
資料・集計方法
平成28年度~令和8年度の各年度選択式試験問題(空欄別4肢方式は当方集計)/ 試験センター『合格発表』 / 厚生労働省『合格基準の考え方』 / 2026年度直前対策講座『選択対策編』Q4-5(p.51)/ 同『白書・統計対策編』(p.24、p.42)
択一式試験について
1 全体講評
今年度の問題冊子は67ページで、昨年度の65ページからさらに2ページ増えました。60ページ以上の問題冊子は、平成30年度(2018年度)から9年連続です(令和5年度はちょうど60ページ)。個数問題は2問、組合せ問題は10問でした。個数問題が大幅に減ったため、形式面では昨年度より処理しやすい構成です。一方、問題文は長く、条文のただし書、通達、行政手引、認定基準、数値、法改正事項及び類似制度の厳密な区別を求める肢も多くありました。
今年度の評価で重要なのは、五肢すべての根拠を説明する難しさと、試験場で正解肢を一つ特定する難しさを分けることです。速報作業では根拠確認に時間を要した問題でも、受験者の立場では、難しい肢を保留し、基本事項で正解肢又は誤りの肢を絞れる問題が少なくありませんでした。個数問題の減少、正解肢の特定しやすさ、社会保険科目における基本問題の多さを総合すると、講師判断としては昨年度よりやや易化したと評価します。67ページを処理する集中力と、一部の事例・計算・通達問題への対応は必要でしたので、決して簡単な試験ではありませんでした。
2 科目別講評
労働基準法・労働安全衛生法
労働基準法は、総則、労働契約、賃金、1年単位の変形労働時間制、割増賃金、年次有給休暇、就業規則から出題されました。問2の個数問題に加え、問4及び問5には特に慎重さが必要でした。一方、その他の問題は主要論点から正解肢を特定でき、労働安全衛生法の3問も、正答率は低くなさそうです。全体としては標準からやや易しい水準です。6点を確保し、7点を目標としたい科目です。
労働者災害補償保険法・労働保険徴収法
労災保険法は、業務災害の事例、給付基礎日額、精神障害の認定基準、特別支給金、複数業務要因災害、家事従事者への適用などから出題されました。全肢の根拠確認には手間がかかりますが、受験者目線では、基本事項又は消去法によって正解肢を特定できる問題も少なくありませんでした。ただし、全体の正答率が高くなさそうな問題も4問ありました。難易度にばらつきのある標準的な科目と評価するのが妥当です。6点を目安とし、7点を目標としたい科目です。
雇用保険法・労働保険徴収法
雇用保険法は、被保険者資格、離職理由、基本手当の支給手続、延長給付、高年齢被保険者など、行政手引の細部を含む出題でした。とりわけ問2は正答率が突出して低くなりそうな難しい問題でした。一方、問3・問5・問6及び徴収法の問10など、確実に得点したい問題もありました。極端な難問を含み、得点差が生じやすい標準からやや難しい科目と評価します。両法合計で5点を確保し、6点を目標としたい内容です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
労働一般常識は、若年者雇用、雇用均等、労働争議に関する統計が3問、労働契約法等から1問、社会保険労務士法から1問が出題されました。統計問題は知識だけで処理することが難しい面もありますが、最低でも1問はとっておきたいところです。社会一般常識も、問6から問10までの正答率が全体的に高くなりそうで、基本条文から判断できる問題が多くありました。全体としてはやや易しい科目と評価するのが妥当です。労働一般常識で3点前後、社会一般常識で4点前後、両分野合計で6~7点を目標としたい内容です。なお、一般常識の問9は、D・Eのいずれも正答となり得るため、正式発表を待つ必要があります。
健康保険法
保険給付の制限、資格取得・喪失、出産育児一時金、健康保険組合、高額療養費、保険料などから幅広く出題されました。例年どおり通達問題や改正事項が含まれ、特に問7は突出して正答率が低くなりそうです。一方、問1・問6・問10などは正答率が高くなることが予想され、問題間の難易度差が大きい構成でした。組合せ問題が2問あることも踏まえると、科目全体としては5点を確保し、6点を目標としたい科目です。
厚生年金保険法
適用事業所・被保険者、障害厚生年金、遺族厚生年金、在職老齢年金、加給年金額、障害手当金、支給繰下げから出題されました。問2はこの科目における明確な難所でした。一方、問6の正答率は高くなりそうで、その他にも主要論点から正解肢を特定しやすい問題が多く、速報時の全肢検討の負荷ほど受験上の難度は高くありませんでした。全体として易しいから標準の水準です。6点を確保し、7点を目標としたい科目です。
国民年金法
保険料免除・追納、産前産後期間の免除、被保険者資格、各種事務、財政検証、振替加算、付加年金、遺族基礎年金などから出題されました。組合せ問題は3問ありましたが、条文・手続の基本から判断できる肢が多く、通達等を根拠とする難しい肢があっても、他の肢から正解を特定できます。今年度の中では得点を積み上げやすい科目で、7点を確保し、8点を目標としたい内容です。
3 合格基準点の予測
昨年度の択一式総得点の合格基準点は42点で、雇用保険法は3点以上に補正されました。今年度は、個数問題が2問まで減ったこと、厚生年金保険法及び国民年金法を中心に正解肢を特定しやすい問題が多かったことが、平均点を押し上げる要素です。これに対し、67ページに及ぶ問題量、雇用保険法問2をはじめとする一部の極端な難問、事例・計算問題は得点を抑える要素です。以上を踏まえ、講師判断による現時点の予測として、総得点の合格基準点を43~45点、中心を44点前後とします。
科目別基準点については、現時点で特定の科目を補正対象と断定できる材料はありません。あえて可能性がある科目を1つ挙げるとすると、雇用保険法です。全科目4点の原則が維持されるか、補正が行われるかについては、正式な得点分布及び試験実施機関の発表を待つ必要があります。一般常識問9の複数正答候補の取扱いも、合格基準とは分けて正式発表を確認すべき事項です。



